手形貸付とは?
手形貸付というのは、借用書の代わりに手形を振り出させ、借主に、手形額面から満期までの利息を差し引いた金額を渡す形態の貸付のことです。
証書貸付とは?
証書貸付というのは、借用証書の差し入れを受けて貸し付ける形態のことです。
手形貸付の特徴は?
手形貸付は金融機関でよく利用されていますが、その特徴としては次のようなものがあります。
■当座勘定で決済することが可能です。
■手形不渡りのおそれという心理的圧迫のために、履行が確保されます。
■貸主は、手形訴訟という簡便な訴訟を利用できます。
■手形要件が決まっているので、手形作成等が簡易です。
■貸主は、手形割引によって資金化が容易です。
■手形の支払期間が比較的短期なので、貸付条件の変更が行いやすいです。
■手形は、手形金額が10万円未満の場合には、印紙税が非課税になるなど安くできます。
上記のような理由から、比較的多くのケースで手形貸付は利用されています。
手形貸付の注意点は?
本来は手形貸付であるからといって、不安になることはないのですが、中には注意が必要なケースもあります。
それは、手形訴訟を利用するために手形貸付を利用するケースです。
商工ローン業者のなかには、このような本来の意味での手形貸付ではなく、もっぱら借主が支払いができなくなったときに、手形訴訟を利用するためだけに手形を振り出させることがありますので注意してください。
また、手形も統一手形用紙を用いた手形ではなく、私製の手形を使用しています。
なぜ、手形訴訟を利用したがるのですか?
手形訴訟は書面のみによる審理なので、非常に早く判決が出るからです。
ただし、ある商工ローン業者は、このような手形貸付に基づいて大量の手形訴訟を提起していたのですが、それは手形訴訟制度の濫用であるということで、東京地裁は、商工ローン業者の私製手形に基づく手形訴訟を認めないということがありました。
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