利息制限法の上限を超える利息の支払いと返還について
今回のテーマは、利息制限法の上限を超える利息の支払いと返還についてです。
例えば、取立屋から激しい取立てに合い(「金返せ」と会社や自宅にきて叫ぶなど)、恐怖から利息制限法の上限金利を超える利息を支払ってしまったような場合、返還してもらえるのでしょうか。
結論から申し上げますと、このようなケースの場合は任意で支払ったとはいえませんので、みなし弁済にはならないと思われます。
ですから、利息制限法の上限を超えて支払った利息については元本に充当することができますし、元本が完済されているのであれば返還を求めることもできます。
さて、ここで大声で「金返せ」と激しく取立てによって支払ったものは自分の意思ではないのでしょうか。
これについては、債務者が「自己の自由な意思によって」支払ったとは認められませんので、貸金業規制法のみなし弁済にはならないと思われます。
そもそも、みなし弁済の制度というのは、貸金業規制法をしっかり守っている貸金業者に対する見返りの面が大部分なわけですから、取立て自体が貸金業規制法に違反している業者には、適用する必要はないと考えられます。
では、違法な取立てというのは具体的にはどのようなものをいうのでしょうか。
これにつきましては、貸金業規制法で、「人を威迫し又は・・・人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により」取立てをしてはならないと定めています。
また、その具体的な例として以下のような行為を掲げています。
■正当な理由なく、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯※に電話連絡、ファクシミリ送信、または訪問すること
※内閣府令では、午後9時から午前8時までとされています。
■正当な理由なく、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話連絡、電報を送達、ファクシミリ送信、または訪問をすること
ちなみに、金融庁ガイドラインでは、大声をあげたり、乱暴なことばを使ったりすることは、「威迫」に該当するおそれが大きいものとしています。 |